このドキュメントは、以下のセクションで構成されます。
インターシステムズが提供するポスト・リレーショナル・データベースの Caché には、専門的な開発者が Web およびクライアント/サーバ・アプリケーションの迅速な構築に必要とする機能が備わっています。Caché が開発者にもたらす利点は、開発ツール、プログラミング言語、データ・アクセス方法を開発者自身が選択できるということです。また、Caché が持つ優れたパフォーマンス、大規模なスケーラビリティ、リアルタイムなデータ解析、堅牢な信頼性は、トランザクション処理アプリケーションにも大きな利点をもたらします。これらのすべての機能が、使いやすく迅速な開発環境に結び付けられています。
Network Appliance (NetApp) 社は、高パフォーマンスのマルチプロトコル・ファイル・サーバ (ファイラとも呼ばれる) とキャッシング・アプライアンスを、UNIX (NFS)、Windows (CIFS)、および Web (HTTP) 環境用に製造しています。OpenVMS は IP ではなく DECNET 上で動作するため、サポートされません。
このドキュメントでは、Windows および UNIX ベースのオペレーティング・システムで、ONTAP(tm) バージョン 5.3.6x 以降を実行する NetApp ファイラにデータベース・データとログ・ファイルを配置する方法で Caché を実装するのに必要な手順について説明します。
このドキュメントは、
Caché および NetApp ファイラの操作に精通していることを前提にしています。また、ご使用のオペレーティング・システムの操作についても十分な知識があることを前提にしています。ここで説明する構成は、Windows 2000 (SP4) および UNIX セクションに記載されている各種 UNIX ベース・プラットフォームで実行されている Caché バージョン 5.0 を使用してテストされました。ファイラでは、Data ONTAP バージョン 5.3.6R2 を実行しました。
Caché のコンテキスト内では、ファイラ上のデータベースに対して実行するあらゆる操作は、ローカル・ディスクに格納されているデータベースに対する操作と何ら変わりません。ファイラに新規データベースを作成する場合は、NetApp マウント・ディレクトリに作成する必要があります。
Windows 2000 上で NetApp ファイラと Caché を統合する場合は、以下のインフラストラクチャ要件と推奨構成に従うことで、最適なパフォーマンスと信頼性を得られます。
Windows 2000 上で Caché と NetApp ファイラを統合する場合のインフラストラクチャ要件を以下に示します。
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Caché が Windows 2000 上で実行されていること
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各種ハードウェアが Caché の実行に必要なシステム要件を満たしていること
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Windows NT ハードウェア互換性リストに記載されているハードウェアが使用されていること
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Caché およびファイラがともに Windows ドメインにあること
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Data ONTAP バージョン 5.3.6x 以降を実行していること.
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CIFS (Common Internet File System) プロトコルを実行していること
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Caché マシンとファイラの間にネットワーク接続があること
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遅延時間の減少とパフォーマンスの向上を実現するためにギガビット・イーサネットを推奨
スクリプト実行、パーティション化、および負荷分散アルゴリズムが適切に動作するのに十分なディスク容量 (HD) があることを確認してください。
Caché と NetApp ファイラの構成の適切な実装に適用される推奨の構成設定と統合方法について、以下のセクションで説明します。
パフォーマンスとシステム環境の信頼性をさらに高めるための推奨オプションと構成がいくつかあります。これらのオプションの大半は、ファイラと Windows プラットフォームの両方で設定します。これらについては、次の
推奨の構成オプションの表で説明します。
推奨の構成オプション
オプション |
説明 |
ファイラ |
Windows |
MaxMpxCt |
NT クライアントがファイラに対して保持できる未処理リクエストの最大数。 |
あり |
あり |
TCPWindow |
ネットワーク経由で転送できる最大データ・サイズ。 |
あり |
あり |
minra |
ファイラの最小先読み設定。 |
あり |
なし |
no_atime_update |
正確なアクセス時間が重要でない場合は、このオプションを設定すると CPU の使用効率を高めることができます。 |
あり |
なし |
security |
セキュリティ方式とは、ユーザのファイルに対するアクセスの可否を決定するためにファイラが使用する特定の方式のことです。CIFS qtree には ntfs セキュリティ方式を使用する必要があります。 |
あり |
なし |
NetApp ファイラで、以下のオプションを設定します。
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options cifs.max_mpx 50
MaxMpxCt の値と同じにする必要があります (既定値は 50、それ以外の指定可能値は 126、253、および 1124)。パフォーマンス・モニタの Redirector-Current Commands 統計を調べます。この項目が現在値レベルで継続的に実行されている場合は、値を増やします。
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vol options minra on このオプションをオンに設定すると、ファイラはボリューム上で最小の先読みを実行します。既定では、このオプションはオフで、ファイラはボリューム上で大量の先読みを実行します。
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vol options no_atime_update on このオプションをオンに設定すると、ファイルの読み取り時に i ノードでアクセス時間の更新が行われません。このオプションは、ボリュームの i ノード・ファイルに対する書き込みが他のファイルからの読み取りと競合しなくなるため、読み取りトラフィックが非常に多いボリュームに適しています。このオプションは、i ノードの正確なアクセス時間がボリューム上のファイルで不要であることが事前にわかっているときに使用します。
これらは推奨設定です。詳細は、"
na_vol" のマニュアル・ページを参照してください。
これは推奨設定です。詳細は、"
na_qtree" のマニュアル・ページを参照してください。
Windows 2000 では、以下の変更を行うことを推奨します。
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TCP ウィンドウ・サイズを 64KB に増やします。
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HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services
LanmanServer\parameters\MaxMpxCt
Datatype: DWORD
Value: To match the setting above for cifs.max_mpx
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services
Tcpip\Parameters\TcpWindowSize
Datatype: DWORD
Value: 64240 (0xFAF0)
----> Global setting for all interfaces <---
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services
\Tcpip\Parameters\Interfaces\interface\TcpWindowSize
Datatype: DWORD
Value: 64240 (0xFAF0)
Adapter Setting:
---> setting per interface <---
セキュリティを
Everyone フル コントロール に設定して、ファイラ上に共有を構築します。ファイラ上に共有を構築する方法の詳細は、システムに付属する "Data ONTAP Software Systems Administration guide" を参照してください。
以下の構成を行うことで、Caché と NetApp ファイラの適切なセットアップが保証されます。
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NetApp を Windows ドメインに適切に参加させます。
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ユーザは Windows ドメイン・サーバに対して認証を行うことで、ファイラ上の共有にアクセスします。
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Windows ログインと同じユーザ名とパスワードで NetApp ディレクトリをマウントします (
Windows エクスプローラの
メニューの
コマンドを使用)。
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Note:
接続が正しく構成されているかどうかを簡単に確認するには、Caché に対して
リモートに Telnet 接続し、NetApp にマップされたドライブ上にあるファイルをオープンできるかどうかをテストします。例えば、
Open "F:\B.TXT":"NWS" と入力します。
F: はマップされたドライブで、
B.TXT は任意のファイルです。Caché プロンプトが返された場合は、接続は正しく構成されています。セッションが無限に停止した場合は、正しく構成されていません。
UNIX ベースのプラットフォーム上で NetApp ファイラと Caché を統合する場合は、以下のインフラストラクチャ要件と推奨構成に従うことで、最適なパフォーマンスと信頼性を得られます。
UNIX ベースのプラットフォーム上で Caché と NetApp ファイラを統合する場合のインフラストラクチャ要件を以下に示します。
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各種ハードウェアが Caché の実行に必要なシステム要件を満たしていること
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Caché が以下の一覧にあるサポート済みプラットフォームのいずれかで実行されていること
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IBM P-series AIX 4.3.3、5.1、5.2
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Red Hat Linux Advanced Server 3.0
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SuSE Linux Enterprise Server 8.0
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NFS (Network File System) プロトコルを実行していること
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NFS 共有がエクスポートされ、クライアントから書き込み可能にマウントされていること
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Caché マシンとファイラの間にネットワーク接続があること
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遅延時間の減少とパフォーマンスの向上を実現するためにギガビット・イーサネットを推奨
スクリプト実行、パーティション化、および負荷分散アルゴリズムが適切に動作するのに十分なディスク容量 (HD) があることを確認してください。
UNIX ベースのプラットフォームにおける、Caché と NetApp ファイラの構成の適切な実装に適用される推奨の構成設定と統合方法について、このセクションで説明します。
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NFS Version 3, hard, intr, Readsize= 32768, Writesize= 32768, nolock
詳細な構文は、オペレーティング・システムによって異なります。
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rsize=32768, wsize=32768, intr, rw, nolock, nfsvers=3, suid, hard, rw
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rsize=32768, wsize=32768, intr, rw, vers=3, suid, hard
可能な場合は、TCP プロトコルを指定します。次に例を示します。
NFS qtree には
unix セキュリティ方式を使用します。次の例は、ルート・ボリュームにセキュリティ方式を設定しています。
セキュリティ方式とは、ユーザのファイルに対するアクセスの可否を決定するためにファイラが使用する特定の方式のことです。
unix セキュリティ方式を使用すると、ユーザの UID と GID、およびファイルやディレクトリに対する UNIX 方式の権限ビットによってユーザ・アクセスが決定されます。これは推奨設定です。詳細は、"
na_qtree" のマニュアル・ページを参照してください。
ご使用のオペレーティング・システムの推奨カーネル・パッチの一覧は、Network Appliance 社にお問合せください。
Network Appliance 社は、データベース・サーバへの接続時の特殊なエラー処理をサポートする Data ONTAP (NetApp のオペレーティング・システム・ソフトウェア) 機能を有効にすることを推奨しています。それには、ファイラのコンソールまたは Telnet セッションから、次のコマンドを入力します。
vol options vol0 nvfail on
これによって、Caché データベースに影響を与えるようなシステム障害が発生した場合に、適切なエラー・メッセージが
\\FILER1\C$\etc\messages ファイルに発行されるようになります。管理者は、メッセージ・ログを調べるか、またはファイラがサポートする電子メールの自動通知機能を使用することで、これらのエラー・メッセージを利用できます。
特に、このオプションによって可能になるのは、ブート時の一連の初期化操作の一環としてファイラに追加される状態チェック機能で、これによって NVRAM (不揮発性ランダム・アクセス・メモリ) が有効な状態にあることが確認されます。このチェックは、クリーン (通常の) シャットダウンおよびダーティ (クラッシュ、電源障害など) シャットダウンの両方で実行されます。NVRAM が無効になる唯一の原因は、NVRAM カード本体の障害です。NVRAM の内容が無効であることが検知された場合は、エラー・メッセージがシステム・コンソールとファイラ・ログ・ファイルに送信されます。このようにして、Caché システム管理者は、データベースの状態が適切で有効であることを保証できます。