Caché 5.0 には、新しいシステム・レベルの機能や、拡張された機能が多く含まれています。
今回のリリースでの主な新システム機能について、以下のセクションで説明します。
Caché システム・コードは、メモリ内のオブジェクトのライフ・サイクルを管理することができ、現在は参照されていないオブジェクトを自動的にクローズします。開発者がこれらの処理を手動で実行する必要がなくなったため、アプリケーション開発が簡素化され、アプリケーションの信頼性が向上します。
ECP (Enterprise Cache Protocol)
Caché の今回のリリースでは、新しい分散データ管理システムである ECP (Enterprise Cache Protocol) を導入しています。ECP を使用して、複数の Caché サーバに同時に接続し、複数の異種システムを網羅する、単独の仮想データベースを作成することができます。ECP によって、ユーザは簡単に (アプリケーションを変更することなく)、優れた高可用性とスケーラビリティを提供するシステムを構成することができます。
ECP は DCP (Distributed Cache Protocol) の後継として、完全に再設計されたものです。ECP は以下の機能を提供します。
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8 KB データベース・ブロックのサポート :ECP を使用して、Caché 4.1 で導入された、新しく効率的な 8 KB ブロック・サイズを使用する Caché サーバに接続できます。
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TCP/IP ベースの堅牢な Transport 層 :ECP はデータ転送に標準的な TCP/IP プロトコルを使用し、データ転送の構成と維持を容易にします。
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ネットワーク帯域幅の効率的な使用 :ECP は、最新の高性能ネットワーキング・インフラストラクチャの利点を最大限に活かすように設計されています。
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共有ネットワーク・バッファ・キャッシュ :ECP は、Caché サーバの一般的なデータベース・バッファ・プールの一部を、共有ネットワーク・キャッシュとして使用します。このキャッシュは、サーバ上のすべての Caché プロセスによって共有されます。これにより、ECP はより効率的になり、DCP のプロセスごとのネットワーク・キャッシュと関連する多くの処理が簡素化されます。
ECP は、他の ECP システムと相互運用するように設計されています。ECP 構成内の各サーバは異なるプラットフォームや、異なるオペレーティング・システムで動作できます。
従来のシステムとの相互運用性を提供するため、Caché は DCP のサポートを継続します。DCP と ECP は同時に使用できます。
今回のリリースでの主な新システム機能は、以下のセクションで説明しています。
Caché はユーザやシステム使用法をより正確にカウントする、新しいライセンス・マネージャを提供しています。
Caché は、Tru64 UNIX 環境でクラスタに対するサポートを提供しています。
Caché クラスタ・サポートは現在、複数のロック・ツリーを使用して、クラスタ・ノード間の優れた負荷分散を提供します。
Caché は、OpenVMS や HP-UX、IBM AIX で、大規模なメモリ・モデル (大規模なデータベース・バッファ) をサポートします。
Caché は、IBM AIX と HP-UX の 64 ビット・バージョンをサポートします。
一般的に、リソースがグローバルに共有されていると、並行処理機能が高度なほど (1 システムに複数のユーザ)、よりよい結果を得ることができます。これは特に、複数の CPU システム上で実証されています。
従来のバージョンでは、静的 (固定) 構造を使用して管理されていたリソースの一部は、構成処理を削減する動的な構造を使用するようになりました。例えば、ユーザの最大数は、今回のバージョンでは実行時に動的に決定されています。
システムは現在、アプリケーション・コンポーネントの検索をより高速に、より効率的にするために、ルーチンのインデックスとクラス定義を保持しています。
JOB コマンドは、多くのプラットフォームで高速化しました。
追加の DSM 互換性関数が提供されています (追加の
ZCALL エミュレーション)。
新規の
%SYSTEM.Task クラスを使用して、ユーザは 1 日の異なる時間帯に実行するタスクを計画することができます。詳細は、クラス・ドキュメントを参照してください。