このドキュメントでは、Apple Mac OS X システムに Caché 5.0.x をインストールする方法について説明します。ここでの内容は、ユーザが Mac のディレクトリ構造、ユーティリティ、およびコマンドに精通していることを前提にしています。このドキュメントは、以下の主要セクションで構成されます。
インストール要件
ここでは、Caché 5.0.x のインストールにおける、以下のハードウェアおよびソフトウェア要件について説明します。
必要なディスク容量
Caché Server Pages (CSP) を含む標準的な Caché インストールには、インストールの種類により、200 – 204 MB (メガバイト) のディスク容量が必要です。
サポート対象プラットフォームと Web サーバ
Caché の最新バージョンは、バージョン 10.3 の Apple Mac OS X オペレーティング・システム上でサポートされます。Mac OS X v10.3 では、Apache 1.3 および 2.0 Web サーバ上で Caché Server Pages (CSP) テクノロジがサポートされます。
Caché のインストール前に、Web サーバをインストールする必要があります。各オペレーティング・システムのサポートは、オペレーティング・システム・ベンダに依存し、変更になる場合もあります。詳細は、"Caché Server Pages の使用法" の “CSP 構成” の章の "Web サーバ構成" を参照してください。
カーネル・パラメータの調整
必要な場合は、Caché をインストールする前に、次の例に示すような共有メモリ問題が生じないように、オペレーティング・システムの共有メモリ・カーネル・パラメータを調整します。
Configuring minimum system...
Unable to allocate 1 MB global buffer space...
 
Unable to allocate shared memory
Cache: Invalid argument
Cache failed to start.
Check if shared memory requirements exceed system resources.
Call InterSystems Technical Support if you need assistance.
 
** Installation aborted **
 
Mac OS X システム上の既定の共有メモリが、次の値だとします。
kern.sysv.shmmax: 4194304
kern.sysv.shmmni: 32
kern.sysv.shmall: 1024
これを次のような値に増やします。
kern.sysv.shmmax: 67108864
kern.sysv.shmmni: 128
kern.sysv.shmall: 2097152
Caché のインストール
一般的な Caché のインストール方法は、Macintosh OS に他のソフトウェア製品をインストールする方法とほとんど同じで、アーカイブ・ファイルを必要としません。1 台のマシンに複数の Caché インスタンスをインストールする場合は、"Caché の UNIX ベース・インストール" のセクションにその詳細な手順が説明されています。それ以外の場合は、以下の手順に従ってください。
  1. インターシステムズから、Caché ディスク・イメージ・ファイル (.dmg 拡張子付き) を入手します。
  2. CD がソースの場合は、CD が自動的にマウントされ、Cache_5.0.13.5603.0.2117.dmg というような名前のファイルがあるウィンドウが表示されます。そのファイルをダブルクリックして、Finder ウィンドウを開きます。
  3. 新しいウィンドウによって、Cache.mpkgPackages ディレクトリの 2 つのファイルが表示されます。Cache.mpkg をダブルクリックして、インストールを開始します。
  4. [Caché インストーラへようこそ] ウィンドウが表示されます。Caché のインストール手順を構成する 6 つの手順が、ウィンドウの左側に表示されます。
    [続行] をクリックして、Caché のインストールに進みます。
  5. Caché ソフトウェア・ライセンス契約が表示されます。[続行] をクリックする前に、[同意する] をクリックして、ライセンス契約に同意する必要があります。
  6. インストール先に Macintosh HD ボリュームを選択して、[続行] をクリックします。
  7. インストール・タイプを選択します。現行のマシン上に Caché のインスタンスがない場合は新規インストールになり、それ以外の場合はアップグレードになります。[簡易インストール] または [カスタム・インストール] を選択できます。
  8. カスタム・インストールを選択した場合は、以下の 3 つのコンポーネントのいずれかまたはすべてを選択します。
    3 つのコンポーネントをすべてインストールする場合は、[簡易インストール] をクリックします。現行のノードをクライアントとしてのみ使用する場合は、Caché データベース・エンジンのインストールは不要です。
  9. インストール・タイプを選択したら、[アップグレード] をクリックします。インストールが開始される前に、Caché のインストールに必要な特権があることを証明するように求められます。ユーザ名とパスワードを入力して、[OK] をクリックします。
  10. インストールが進行するにつれて、様々なメッセージが進行バーに表示され、最後に “ソフトウェアは正常にインストールされました” というメッセージが表示されます。Caché は /Applications/Cache フォルダにインストールされ、ポート 1972 またはその次に使用可能なポート番号から実行されます。構成の名前は、CACHE または CACHEn になります。n は次に使用可能な整数値です。インストールを完了するには、[再起動] をクリックします。
マシンが再起動されたとき、Caché は実行中になっています。UNIX ベースの Caché と同じように、ターミナルを使用してインスタンスを制御できます。詳細は、"Caché の開始" のセクションを参照してください。
Caché の UNIX ベース・インストール
Mac OS X に Caché をインストールするもう 1 つの方法は、UNIX ベースのプラットフォームにインストールする方法とほぼ同じです。Caché 5.0.x をインストールするには、root のユーザ ID でログインします。他のアカウントからログインしているときに、su (super user) コマンドで root に変更する方法では不十分です。
オペレーティング・システムにログインした後は、自動マウントされる CD-ROM にあるインストール・キットを使用するか、または圧縮アーカイブ・ファイルのインストール・キットをインターシステムズから取得します。Mac OS X ツールの StuffIt Expander はアーカイブ・ファイルを自動的に解凍し、デスクトップにインストール・ファイルを置きます。
これで、インストールを開始する準備が整いました。
Important:
Caché ディレクトリにシンボリック・リンクを使用しないでください。使用すると、予測できない結果を生じる可能性があります。
"Caché システム管理ガイド" の "複数の Caché インスタンス" のセクションを参照してください。
インストール・スクリプトの実行
インストール・スクリプト cinstall は、自動的に以下のすべてを実行します。
インストールは、以下のように実行します。
  1. インストール・ファイルの最上位にある cinstall スクリプトを実行し、インストール手順を開始します。
    # /pathname/cinstall
    
    pathname は、CD のマウント・ポイントまたはダウンロードした tar ファイルの解凍先ディレクトリです。
  2. インストール・スクリプトは、ご使用のシステム・タイプを識別し、配布メディア上のインストール・タイプに対する検証を行ないます。
  3. スクリプトは、そのマシンに Caché インスタンスがあれば、そのリストを表示します。
    構成プロンプトで、構成名を入力します。同じ名前を持つインスタンスがすでに存在する場合は、それをアップグレードするかどうかを尋ねられます。その名前の構成が存在しない場合は、新規に作成するかどうかを尋ねられ、その配置場所を指定するように求められます。
  4. 次に、Caché の文字サポートを 8 ビットまたは Unicode のどちらにするかを選択します。
    インターシステムズは、日本語の OS 上では、Unicode 版を使用することを推奨します。Caché の 8 ビット・バージョンを使用する場合、ユーザのデータを、異なる文字セットを基にした 8 ビット・ロケールに移植することはできません。
    Caution:
    Unicode を選択してインストールを実行した場合、8 ビットに戻るとデータが失われます。これは、8 ビット・バージョンの Caché は、データベースから 16 ビットの文字データを取得できないためです。
    クライアント・インストールでは、このクライアントが通信するサーバに適合する形式を選択します。8 ビット・サーバにアクセスするには 8 ビット・クライアントをインストールし、Unicode サーバにアクセスするには Unicode クライアントをインストールします。
  5. サポートされる Web サーバがインストールされている場合、これを CSP 用に構成するかどうかを聞かれます。Caché のインストールの完了後に CSP ゲートウェイをインストールする場合は、「Yes」と返答します。
  6. ODBC および SQL ゲートウェイをインストールして、各種システム管理ユーティリティのソース・コードをロードし、Caché エンジン・リンク・ライブラリをロードするかどうかを尋ねられます。これらは、カスタムのコールイン・モジュールおよびコールアウト・モジュールの構築に使用します。既定のオプションは、これらのプロンプトに対し、ほとんどの場合において適切です。
  7. インストールのこの時点で、Caché の開始および終了特権を持つグループを指定するように求められます。これらの特権を持つのは 1 グループのみで、/etc/group ファイルにリストする必要があります。オプションは以下の通りです。
    Note:
    <cache-install-dir>/bin ディレクトリに対する許可は、インストール時に修正され、グループなどによる書き込みアクセスが削除されます。所有者は root であるため、システム管理者のみがこのディレクトリ内のファイルを変更できます。
  8. ファイルのコピーが開始され、インストールが進行するにつれて様々なメッセージが表示されます。
  9. インストール時に、mgr サブディレクトリに cache.key ファイルが検出されない場合、ライセンス・キー情報を入力するかどうかを尋ねられます。既定は [いいえ] です。
    [はい] を選択すると、Caché はインストール・プロセスの一環としてキーをインストールします。インターシステムズの Caché ライセンス情報入力に関する詳細は、"ライセンス情報" のセクションを参照してください。
  10. CSP ゲートウェイのインストールを選択した場合は、インストールが開始されます。詳細は、"Caché Server Pages の使用法" の付録 CSP ゲートウェイのインストールと構成 を参照してください。
コンソールとして使用する Caché の Windows へのインストール
システム管理コンソールとして使用するために、Windows に Caché をインストールします。詳細は、"Caché インストール・ガイド Windows 用" を参照してください。ご使用の Mac ベース・システムを管理するために、クライアントのみのオプションをインストールすることもできます。
一般的に、クライアント PC 上の Caché のバージョンは、それが管理する Caché システムのバージョンと同じか、それ以降である必要があります。
Caché の開始
Caché のインストールが完了すると、Caché は実行中になっています。しかし、Caché を開始する必要がある場合は、最初にご使用のオペレーティング・システムにログインし、ccontrol コマンドを使用して Caché を開始する必要があります。
ccontrol start <configname>
configname は、インストール中に選択した構成名です。
Caché の開始および停止には、ccontrol コマンドを使用します。この詳細は、"Caché システム管理ガイド" の "Caché インスタンスの制御" を参照してください。
Caché が開始したら、csession コマンドを使用して Caché セッションを開始します。
csession <configname>
configname は、インストール中に選択した構成名です。
以下の表で、その他のコマンド・オプションの概要を示します。
Caché csession コマンドとオプション
コマンド 説明
csession <configname> -B Caché のシングル・ユーザ・バージョンあるいはマルチユーザ・バージョンへのログイン、およびログインが無効の場合の緊急ログインを提供します。
csession <configname> -U <namespace> ログイン・ネームスペースを指定します。
csession <configname> —b <partition> プロセスの最大パーティション・サイズを指定します (KB 単位)。
csession <configname> "[label[+offset]]^routine" ユーザ・モードでルーチンを実行します。
ライセンス情報
Caché は、ライセンス・キーを使用して、登録されたサイトで適切な操作ができることを保証します。Caché には、使用可能な Caché の機能と容量を決定するプロダクト・アクティベーション・キーが必要です。識別情報は、ライセンス・キー・ファイルとして、書類、FAX、またはメールによってインターシステムズから配布されます。ライセンス・キー情報を入力するには、2 つのオプションのいずれかを選択します。
ライセンス情報の入力で何か問題が生じた場合、"ライセンス・トラブルシューティング" のセクションを参照してください。
シングル・ユーザのインストールには、ライセンス・キーは必要ありません。その場合には、このセクションは飛ばしてください。
ライセンス・キー情報の入力
キー情報には、ライセンスの機能範囲、顧客名、注文番号、製品認証キー、有効期限、認証キー、マシン ID が含まれます。必ず、ライセンスに指定されている通りの情報を入力してください。
  1. キーに表示されている通りにライセンス情報を入力します。
  2. 顧客名 (個人または組織) を、キーに表示されている通りに入力します。
  3. キーに表示されている通りに、注文番号を入力します。
  4. キーの有効期限を mm/dd/yyyy の形式で入力します。この場合、文頭の 0 は削除します (2005 年 7 月 10 日は 7/10/2005 となります)。
  5. キーに表示されている通りに製品認証キーを入力します。
  6. キーに表示されている通りに、マシン ID を入力します。
  7. キーの保存を指示された場合、[Y]、または [はい] (既定) を入力します。スクリプトは、cache.key ファイルの保存が完了したことを表示します。
インストール後のライセンスの入力
インストール完了後に、ローカル・マシン または Windows クライアント の Caché 構成マネージャからライセンス・キー情報を入力できます。
ローカル・マシンでのライセンスの入力
インストール後にローカル・マシンでライセンスを設定するには、以下の手順に従います。
  1. Caché を終了します。
    # ccontrol stop <configname>
    
  2. Caché 管理者のディレクトリから licentry プログラムを実行します。
    $ cd /<cache-dir>/mgr
    $ ../bin/licentry
    
    cache-dir は、Caché がインストールされたディレクトリで、mgr は管理者のサブディレクトリです。
  3. ライセンス・キー情報の入力 のセクションで説明されている手順に従い、キーに表示される内容とまったく同じようにライセンス・キー情報を入力します。
  4. Caché を再起動します。
    # ccontrol start <configname>
    
Windows クライアントからのライセンスの入力
インストール中にライセンス・キーを入力していない場合、Windows クライアントの Caché キューブでも設定できます。
  1. [優先接続サーバ] にカーソルを当て、[追加/編集] をクリックして、先ほどインストールした Caché インスタンスにリモート・サーバ接続を追加します。この接続に適切なポート番号を指定するように注意してください。
  2. キューブ・メニューから [リモート・システム・アクセス][構成マネージャ] にカーソルを当て、前の手順で入力した適切な接続サーバ名をクリックします。
  3. [構成マネージャ] ダイアログ・ボックスで [ウィザード] をクリックし、[ライセンスの作成] を選択して、[OK] をクリックします。
  4. [ライセンス情報の設定] ダイアログ・ボックスでは、ユーザがインターシステムズから取得したライセンス識別情報を入力します。その情報には、ライセンスの機能範囲顧客名注文番号製品認証キー有効期限認証キーマシン ID が含まれます。必ず、ライセンス・キーに指定されている通りの情報を入力してください。
  5. [OK] をクリックします。
構成を開始すると、ユーザの新しいライセンス情報が有効になっています。
ライセンス・トラブルシューティング
Caché がシングル・ユーザ・ライセンスでしか開始できない場合、またはユーザが <LICENSE LIMIT EXCEEDED> というエラー・メッセージを受け取った場合、以下を実行します。