Windows 用 Caché のインストール・ユーティリティは、ユーザのコンピュータに サイレント・インストール を実行するオプションを提供します。通常のインストール (サイレント・インストール以外) の場合、ユーザがダイアログ・ボックスに必要な情報を入力し、この情報からインストールを実行します。これに対しサイレント・インストールは、ユーザ入力の必要がなく、応答ファイルからユーザが入力した情報を受け取ります。InstallShield Silent アプリケーションは、実行時に必要な情報を応答ファイルから読み込み、設定情報をファイルに記録します。
サイレント・インストールを実行するには、NT ディレクトリから Setup.exe インストール・プログラムを使用します。CD のルートにある setup.exe は、InstallShield のインストールには関係なく、実際に呼び出される InstallShield 実行ファイルに引数も渡しません。
応答ファイルの記録
応答ファイルは、テキスト・ファイルで、データ・エントリを含む複数のセクションから構成されています。応答ファイルを作成するには、コマンド行パラメータ -r を使用してセットアップを実行します。
Setup.exe -r
プロンプトに対し、適切に回答してください。InstallShield は、Setup.iss という応答ファイルにユーザが選択した設定を記録し、Windows ディレクトリにそのファイルを置きます。
サイレント・インストールの実行
応答ファイルが作成されると、InstallShield Silent を利用してサイレント・モードでセットアップを実行できます。サイレント・モードでセットアップを実行している間に、メッセージは表示されないので注意してください。代わりに、Setup.log というログ・ファイルに、セットアップが成功したかどうかも含めたセットアップ情報を取得します。ユーザは、ログ・ファイルを確認し、セットアップの結果を判断できます。
InstallShield Silent を開始するには、コマンド行パラメータ -s でセットアップを実行します。
Setup.exe -s
セットアップは、前の手順で作成されたスクリプトを再生します。InstallShield には、-f1 パラメータと -f2 パラメータがあるので、ユーザは応答ファイルの名前や位置、ログ・ファイルの位置を指定できます。以下のセクションで説明されているように、多数のパラメータを使用できます。
サイレント・セットアップが成功したかどうかを確認するには、Setup.log の [ResponseResult] セクションにある ResultCode 値を調べます。InstallShield は、ResultCode キーネームの後に、適切な返り値を書き込みます。
InstallShield サイレント・コマンド行パラメータ
以下の表は、サイレント・インストール・パラメータです。指定がない限り、パラメータは大文字と小文字を区別しないため、どちらの文字も使用できます。
InstallShield サイレント・コマンド行パラメータ
コマンド行パラメータ 説明
-fpath\CompiledScript 代替のコンパイル済みスクリプトを指定します。コンパイル済みスクリプト (.ins ファイル) が、Setup.exe と同じディレクトリにない場合、そのスクリプトのフルパスを指定する必要があります。_setup.dll ファイルは、.ins ファイルと同じディレクトリに配置する必要があります。例えば、Setup -ftest.ins は、Setup.ins の代わりに test.ins を使用してセットアップを開始します。
-f1path\ResponseFile .iss 応答ファイルの代替位置および名前を指定します。InstallShield Silent の動作中にこのオプションを使用すると、path\ResponseFile と指定されたディレクトリまたはファイルから、応答ファイルを読み込みます。これを -r オプションと共に使用すると、応答ファイルは、path\ResponseFile で指定されたファイルに書き込まれます。-f オプションを使用する場合、-f1 パラメータは -f パラメータの後に来る必要があります。
-f2path\LogFile サイレント・インストールで作成されたログ・ファイルの代替位置および名前を指定します。既定では、Setup.log ファイルは Setup.ins として、同じディレクトリに生成、格納されます。-f オプションを使用する場合、-f2 パラメータは -f パラメータの後に来る必要があります。
-mfilename InstallShield は、インストールの最後に、管理情報形式 (.MIF) ファイルを自動的に生成します。.mif ファイルは常に Windows ディレクトリに配置されているため、パスは含まれていません。 filename はオプションです。 特に指定がない場合、結果として作成されたファイル名は、Status.mif です。
-m1serial_number 作成した .mif ファイルに、割り当てられたシリアル・ナンバーを保存するよう InstallShield に指示します。
-m2locale_string .mif ファイルに、割り当てられたロケールを保存するようセットアップに指示します。既定は英語 (ENU) です。ロケール文字列の総一覧は、Microsoft のマニュアルを参照して下さい。
-r Setup.exe は、インストールの入力記録であるサイレント・インストール .iss ファイルを Windows ディレクトリに自動的に生成します。
-s InstallShield Silent を稼動し、サイレント・インストールを実行します。
-SMS ネットワーク接続とセットアップが、インストールの完了前に終了しないようにします。このパラメータは大文字で指定します。 ネットワークを経由して Windows NT サーバで実行するインストールで有効です。
-z セットアップの際、初期化に使用できるメモリをチェックしないようにします。このパラメータは、256 MB 以上のメモリを持つマシン上でセットアップを開始する場合に必要です。 使用しない場合は、セットアップはメモリが不十分であると報告し、終了します。
サイレント・セットアップ・ログ
サイレント・セットアップのログ・ファイルの既定名は Setup.log で、既定の位置は Disk1 です (Setup.ins と同じディレクトリ)。-f1-f2 パラメータを使用して、Setup.log に異なる名前と場所を指定できます。
Setup.log ファイルには、以下の 3 つのセクションがあります。
  1. [InstallShield Silent] — サイレント・セットアップで使用される InstallShield Silent アプリケーションのバージョンを識別します。また、このファイルをログ・ファイルとして識別します。
  2. [Application] — インストールされたアプリケーションのバージョンと名前、および会社名を識別します。
  3. [ResponseResult] — サイレント・セットアップが成功したかどうかを示す結果コードを含みます。
[ResponseResult] セクションの ResultCode キーネームには、整数値が割り当てられます。InstallShield は、ResultCode キーネームの後に、以下のような返り値を割り当てます。
ResultCode 返り値
返り値 説明
0 インストールに成功しました
-1 一般的なエラーです。
-2 無効なモードです
-3 必要なデータが Setup.iss ファイルに見つかりません
-4 メモリが不足しています
-5 ファイルが存在しません
-6 応答ファイルに書き込みできません
-7 ログ・ファイルに書き込みできません
-8 InstallShield Silent 応答ファイルへのパスが無効です
-9 リスト・タイプが無効です (文字列または数字)
-10 データ型が無効です
-11 インストール中に不明なエラーが発生しました
-12 ダイアログ・ボックスが使用できません
-51 指定のフォルダを作成できません
-52 指定のファイルまたはフォルダにアクセスできません
-53 無効なオプションが選択されました
  
以下は、InstallShield のサイレント・セットアップに成功した Setup.log ファイルの例です。
[InstallShield Silent]
Version=v5.00.000
File=Log File

[Application]
Name=InstallShield5
Version=5.00.000
Company=InstallShield

[ResponseResult]
ResultCode=0