この章では、OpenVMS システムに Caché 5.0 をインストールする方法を説明しています。ここでは、ユーザが OpenVMS のディレクトリ構造、ユーティリティおよびコマンドに精通していることを前提に記述されています。この章の内容は、以下の通りです。
このセクションでは、Caché 5.0 を新規にインストールする、あるいはアップグレードするために必要なハードウェアおよびソフトウェアの要件について説明します。
Caché Server Pages (CSP) を含む標準的な Caché インストールには、インストールの種類により、140 ~ 151 MB (メガバイト) のディスク領域が必要です。これは、ディスク領域の 286720309248 のブロックに相当します。
最新バージョンの Caché は、HP OpenVMS v7.2 あるいは v7.3 搭載の Alpha コンピュータでサポートされています。 GS160 など NUMA (Non-Uniform Memory Access:非均質メモリ・アクセス) マシンに Caché をインストールする場合、現在推奨される構成を
インターシステムズのサポート窓口までお問い合わせください。
CSP (Caché Server Pages) は、OpenVMS v7.2 では Apache 1.3 と 2.0 Web サーバでサポートされており、OpenVMS v7.3 では、HP Secure Web サーバ 1.0 と 1.3 でサポートされています。
アップブレードを行なう際に、Caché のインストール前のアップグレード・タスクがすべて完了した後、必要に応じて、ご使用の Caché のインストールをバックアップしてください。
Caché 5.0 をインストールするには、OpenVMS にシステム管理者として、あるいは、CMKRNL、WORLD、BYPASS、SYSLCK、ALTPRI、OPER の特権でログインします。インストール・スクリプトの実行時に UIC が [1,4] でない場合、コマンド・プロシージャ
CINSTALL は自動的に UIC を [1,4] に変更します。
Note:
新しい構成をインストールしている間に論理名
CACHE$MGRUIC が定義された場合、ターゲット・ディレクトリのオーナーの UIC をその論理名の値に設定します。サブディレクトリおよびファイルは、その UIC を継承します。
-
-
-
-
-
Caché インストール・ファイルを、配布メディアから作業ディレクトリ (推奨) あるいはターゲット・ディレクトリに移動します。OpenVMS バックアップ・コマンドを使用して、配布ファイルを作業ディレクトリにコピーします。
-
$ MOUNT/OVERRIDE=IDENTIFICATION cd_dev:
$ backup cd_dev:[CACHEDIST]C50B544.BCK/SAVE/SELECT=[REL.ALPHAVMS.DIST...]
dest_dev:[CACHEKIT...]
$ DISMOUNT cd_dev:
-
$ MOUNT/FOREIGN magtape_dev:
$ backup magtape_dev:C50B544.BCK/REWIND/SAVE/SELECT=[REL.ALPHAVMS.DIST...]
dest_dev:[CACHEKIT...]
$ DISMOUNT magtape_dev:
プリコンバージョン・ルーチンの実行 (ISM アップグレードのみ)
ISM 5.10 もしくは 6.4 システムをアップグレードする場合は、以下の手順に従います。それ以外の場合は、このセクションを飛ばしてください。
バックアップを実行し、Caché ファイルを配布メディアから転送した後、プリコンバージョン・ルーチンを実行します。プリコンバージョン・ルーチンは、現在の ISM 構成を検査し、アップグレードで使用する Caché 構成ファイルを構築します。プリコンバージョン・スクリプトは、以下の手順で実行します。
-
-
CPRECONV スクリプトを、配布メディアから現在の管理者のディレクトリにコピーします。
-
CVTCFG プログラムを配布メディアから現在の管理者のディレクトリ、あるいは Caché をインストールするディレクトリにコピーします。
-
%G ユーティリティを使用して、
^SYS("UCI") グローバルをチェックします。グローバルが、現在のアプリケーション・データベースをすべて適切に表示しているかどうかを確認します。
-
以下のオペレーティング・システム・コマンドを使用して、プリコンバージョン・ルーチンを開始します。
-
スクリプトに従って、Caché インストール・ディレクトリを指定します。 これは、ルーチンが作成した Caché 構成ファイルを格納している場所です。そのディレクトリが存在しない場合は、このルーチンが新規に作成します。任意のディレクトリを指定します。 既定は
/USR/CACHESYS です。
ルーチンは、各システム構成、およびそのシステム構成に関連する既定のネットワーク構成とネームスペース構成に、1 つづつ
cache.cpf ファイルを作成します。
-
インストール・スクリプト
CINSTALL は、自動的に以下のすべてを実行します。
-
Caché システム・マネージャ・データベースをインストールします。
-
インストール・モードで Caché を起動します。
-
Caché システム・マネージャ・グローバルとルーチンをインストールします。
-
Caché を終了し、既定の構成で再起動します。アップグレード・インストールは元の構成ファイルを使用して再起動し、必要に応じて更新されます。
-
インストール・ファイルの最上位にある
CINSTALL スクリプトを実行し、インストール・プロシージャを開始します。
インストール・ディレクトリが見つからない場合、以下のようにフルパスを入力してスクリプトを実行します。
@DKA0:[CACHEKIT.Q5-0-BUILD544]CINSTALL
-
インストール・スクリプトは、マシンに Caché インスタンスが存在する場合、そのリストを表示します。プロンプトで、構成名を入力します。同じ名前を持つインスタンスがすでに存在する場合、プログラムはアップグレードするかどうかを聞きます。 そのような構成が存在しない場合は、新規にインストールするか、また、どこに配置するかを指定します。
-
次に、Caché の文字サポートを 8 ビットまたは Unicode のどちらにするかを選択します。
インターシステムズは、日本語の OpenVMS には、Unicode 版を使用することを推奨します。Caché の 8 ビット・バージョンを使用する場合、ユーザのデータを、異なる文字セットを基にした 8 ビット・ロケールに移植することはできません。
Caution:
Unicode を選択してインストールを実行した場合、8 ビットに戻るとデータが失われます。これは、8 ビット・バージョンの Caché は、データベースから 16 ビットの文字データを取得できないためです。
クライアント・インストールでは、このクライアントが通信するサーバに適合する形式を選択します。8 ビット・サーバにアクセスするには 8 ビット・クライアントをインストールし、Unicode サーバにアクセスするには Unicode クライアントをインストールします。
-
-
スクリプトは、さまざまなシステム管理ユーティリティにソース・コードをロードし、Caché エンジン・リンク・ライブラリをロードするかどうかを聞きます。 これらは、カスタムのコールイン・モジュールおよびコールアウト・モジュールの構築に使用します。既定のオプションは、これらのプロンプトに対し、ほとんどの場合において適切です。
-
インストール時に、
MGR サブディレクトリに
cache.key ファイルが検出されなければ、ライセンス・キー情報を入力するかどうかを聞かれます。 既定は
No です。
[Yes] を選択すると、Caché はインストール・プロセスの一部としてキーをインストールします。インターシステムズの Caché ライセンスの詳細情報は、
ライセンス・キー情報 セクションを参照してください。
Cachéが適切に機能するように、マシンを再起動する際に、
CACHE$STARTUP.COMファイルを編集して Caché をセットアップするコマンドを追加する必要があります。
CACHE$STARTUP.COM スクリプトは、ハードウェアに依存する定義など、Caché 構成すべてに影響するコマンドのみを持ちます。また、磁気テープ・デバイスの論理を定義し、特定の Caché 構成を自動的に開始します。以下のようにして、ファイルをセットアップします。
-
-
-
Windows にコンソールとして使用する Caché のインストール
インストール・プロシージャの実行が完了したら、以下のタスクを実行します。
-
-
-
-
必要に応じて、
特別な考慮事項 に記載されているタスクも追加で実行してください。
Caché がインストールされたときは、そのまま実行します。しかし、Caché を開始する必要がある場合は、最初にご使用のオペレーティング・システムにログインし、
ccontrol コマンドを使用して Caché を開始します。
ccontrol start <configname>
Caché が開始したら、
csession コマンドを使用して Caché セッションを開始します。
以下の表で、その他のコマンド・オプションの概要を示します。
Caché csession コマンドとオプション
コマンド |
概要 |
csession <configname> -"B" |
緊急用のシステム管理者ログインで、ライセンスの設定などのシステム・タスクを実行します |
csession <configname> -"U" "namespace" |
ログイン・ネームスペースを指定します |
csession <configname> "[label[+offset]]^routine" |
ユーザ・モードでルーチンを実行します |
Caché で使用する OpenVMS v7.x 時刻の設定
OpenVMS バージョン 7.0 以降のバージョンでは、(Caché を含む) UTC 時間関数を使用する C プログラムには、DEC C ランタイム・ライブラリ・インタフェースを適切に設定する必要があります。 設定しないと、不正確な時刻値を取得します。この処理の詳細については、OpenVMS マニュアルを参照してください。以下はその概要です。
-
Caché と OpenVMS の時刻の同期がとれているかどうかをチェックするため、以下のコマンドを Caché プロンプトに入力します。
> Write $ZTIME($P($H,",",2))
> !SHOW TIME
最初は Caché の時刻を、次に OpenVMS のシステム時刻を表示します。2 つの値はほぼ同じになります。
-
UTC$TIME_SETUP プロシージャを実行し、システム時刻を設定します。
-
このプロシージャが不完全に終了した場合、以下のコマンドを OpenVMS に入力します。
$ @SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP.COM "" BOTH
これは、強制的にタイム・ゾーンと Time Differential Factor (TDF) データをアップデートします。両方の値が矛盾していないかどうかを確認してください。例えば、選択されたメインのタイム・ゾーンが、US (33)、Eastern ゾーン (6) あるいは EST の場合、正しい TDF は -5:00 (サマータイム時は -4:00) です。
OpenVMS ドキュメントで説明されているように、自動的にサマータイムを適用するように構成することもできます。
これで、Caché 5.0 を使用する準備ができました。
このセクションでは、ライセンス、プラットフォーム固有の問題、インストールの種類に関する特定の問題やタスクについて説明します。
Caché は、ライセンス・キーを使用して、登録されたサイトで確実に適切な運用ができるようにします。Caché には、Caché の機能と容量を決定するプロダクト・アクティベーション・キーが必要です。識別情報は、ライセンス・キー・ファイルとして、書類、FAX、あるいはメールでインターシステムズから配布されます。ライセンス・キー情報を入力するには、2 つのオプションのいずれかを選択します。
-
-
それ以外の場合、Caché はライセンス設定を行わずにインストールを続行します。 インストールの完了後にライセンスを設定する場合、
インストール後のライセンスの入力 セクションを参照してください。
シングル・ユーザのインストールには、ライセンス・キーは必要ありません。その場合には、このセクションは飛ばしてください。
Important:
Caché 4.1 以前のバージョンのライセンス、あるいは他のインターシステムズ社製品のライセンスは、Caché 5.0 には使用できません。アップグレードの際に適切なキーが必要な場合は、
インターシステムズのサポート窓口にお問い合わせください。
キー情報には、ライセンスの機能範囲、顧客名、注文番号、製品認証キー、有効期限、マシン・タイプ、マシン ID が含まれます。 必ず、ライセンスに指定されている通りの情報を入力してください。
-
キーに表示されている通りにライセンス情報を入力します。
-
顧客名 (個人または組織) を、キーに表示されている通りに入力します。
-
キーに表示されている通りに、注文番号を入力します。
-
キーの有効期限を mm/dd/yyyy の形式で入力します。 この場合、文頭の 0 は削除します (2002 年 7 月 10 日は 7/10/2002 となります)。
-
キーに表示されている通りに製品認証キーを入力します。
-
キーに表示されている通りに、マシン ID を入力します。
-
インストール後にローカル・マシンでライセンスを設定するには、以下の手順に従います。
-
$ CCONTROL stop <configname>
-
Caché 管理者のディレクトリから
licentry プログラムを実行します。
$ SET DEFAULT DKA0:[CACHESYS.MGR]
$ RUN [-.BIN]licentry
-
ライセンス・キー情報の入力 セクションで説明されている手順に従い、キーに表示される内容とまったく同じようにライセンス・キー情報を入力します。
-
$ CCONTROL start <configname>
Windows クライアントからのライセンスの入力
インストール中にライセンス・キーを入力していない場合、Windows クライアントの Caché キューブでも設定できます。
-
にカーソルを当て、
をクリックして、先ほどインストールした Caché インスタンスにリモート・サーバ接続を追加します。この接続に適切なポート番号を指定するように注意してください。
-
キューブ・メニューから
の
にカーソルを当て、前の手順で入力した適切な接続サーバ名をクリックします。
-
-
-
構成を開始すると、ユーザの新しいライセンス情報が有効になっています。
Caché が 1 ユーザ・ライセンスでしか開始できない場合、またはユーザが
<LICENSE LIMIT EXCEEDED> というエラー・メッセージを受け取った場合、以下を実行します。
-
cache.key ファイルにライセンス・キーが正しく入力されているかどうかを確認します。大文字と小文字の両方を使用しているキーワードを含め、ペーパー・キーの通りに正しく入力する必要があります。
-
手動でキーを入力しても問題が解決されない場合、Windows クライアントから構成マネージャを使用して OpenVMS Caché サーバに接続し、ライセンス・ウィザードを使用してキーを入力してください。
-
ライセンス・キーが適切にインストールされたかどうかをチェックします。
-
-B オプションを持つ
csession を使用して Caché にログインします。
$ CSESSION <configname> -"B"
-
Do $System.License.CKEY()
-
キーが無効の場合、その既定の診断キーに表示された顧客名フィールドにより、原因を判断できます。
1 台の OpenVMS マシンに、Caché 4.0 およびそれ以降のバージョンのインスタンスを複数インストールし、同時に実行できます。各構成にそれぞれ一意の名前、インストール・ディレクトリ、ポート番号をつけて Caché をインストールします。